100年に一度の大不況下だから起きた初めてづくしの契約締結

2011.12.02

晩秋と呼ぶにはあまりに肌寒く、銀行の味気ない応接間に座ると、思わずホッとした。テーブルの向かいには売主の代理人、広島から朝の新幹線でやってきたという仲介業者の老人が座っていた。今日は決済の日だ。この2週間、Nさんに500万という最終価格を聞いてからというもの、毎日が矢のように過ぎていった。早速、数字に強く、かつて不動産会社の幹部だった総務のK君にアシストを頼み、書類確認など諸々の雑務を一部引き受けてもらった。

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内見に出向いたK君も「あれはいい物件ですよ」と太鼓判を押してくれた。契約もまたユニークだった。まず、明星ハイツの売主さんが高齢で上京できないということから、私の印を押した契約書と手付金50万円を、Nさんが新幹線で広島まで届けに行った。通常なら契約も決済もテーブルを囲んで互いの仲介業者と進めるのに、内心、大丈夫だろうかと不安に思った。長い付き合いのNさんでなければ、現金を預け、伝書鳩のように業者が走り回る契約締結にも不安を抱いたはずだ。半値以下の値引きといい、売主さんと対面しない契約といい、全てが初めてのことずくめだ。これも100年に一度の大不況下だからこそ、起こりえることかもしれないと思った。




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